全身麻酔VS睡眠麻酔 どっちが危険? 麻酔で気になることQ&A
手術において欠かすことのできないもの、それは麻酔です。
麻酔について理解しておくだけで、手術に対する不安や恐れも少しは軽減できることと思いますので、麻酔について気になることをまとめてみたいと思います。
麻酔の種類
麻酔の種類は、大きく次のようにわけられます
1. 全身麻酔(気管に管を挿入する麻酔)
2. 睡眠麻酔(自力での呼吸が可能な麻酔)
3. 局所麻酔(脊椎麻酔、神経遮断術)
どんな手術にどんな麻酔が使用されるかは、病院や手術内容によっても変わってきますが、一般的には次の通りとなります。
★輪郭、両顎、胸など
⇒全身麻酔を使用
★目、鼻、脂肪吸引、脂肪移植、リフトなど
⇒睡眠麻酔を使用(局所麻酔と併用)
全身麻酔を使うケース
・部分麻酔ができない部位(顔の骨など)のとき
・手術中に患者が動いてしまうと危険を伴うとき
全身麻酔は、筋肉弛緩剤の影響で全身を動けなくさせる作用があります。手術中に患者が動いてしまうと危険が高まる手術をする場合や、部分麻酔が効かない部位を手術するときに全身麻酔が使用されます。
麻酔で気になることQ&A
Q 全身麻酔と睡眠麻酔、どっちが危険?
世間一般では、全身麻酔のほうが危険と思っている人のほうが多いことでしょう。しかし実際には、重い疾患や持病などがなく普通の健康状態であれば、全身麻酔のほうがむしろ安全であるというのが、医者たちの見方です。
全身麻酔の場合、手術を執刀する医師とは別の麻酔専門医が、患者の呼吸や脈・血圧などを終始モニタリングしているため、むしろ安心して手術を行うことができます。重要なのは、麻酔の種類ではなく、いかに患者をモニタリングしながら安全に手術を進行させるかということです。
Q 睡眠麻酔は途中で目が覚める?
全身麻酔は途中で目が覚めてしまうことはありませんが、睡眠麻酔は途中で目が覚めてしまうことは起こりえます。原因は様々で、投与する薬剤の量や患者さんの体調などが関係します。仮に目が覚めてしまったとしても、医師が対処して再び眠らせてくれますので心配することはありません。
※睡眠麻酔は途中で必ず目が覚めてしまうということではなく、あくまでその可能性があるという話です
Q 全身麻酔は事前検査が必要?
全身麻酔を使った手術を受ける時は、必ず前もって事前検査を受けなければなりません。過去の病歴や手術歴などを確認する問診のほかに、胸部レントゲン、心電図、血圧、採血などの検査を行います。これらの検査結果から麻酔科の医師が全身麻酔手術の可否を判断したり準備をします。
Q 全身麻酔を頻繁に受けると頭が悪くなる?
これは全くの嘘です。全身麻酔を頻繁に受けたからといって頭が悪くなるなんてことはありません。全身麻酔から覚めた直後に意識が朦朧としたり、話す時に呂律が回らなくなったりすることはありますが、これはあくまで麻酔の副作用として一時的に起こる症状ですので、時間が経てば正常に戻ります。
Q 手術の前日にお酒を飲んでもいい?
翌日に手術を控えて飲酒される方はけっこういます。しかし全身麻酔でも睡眠麻酔でも手術の前日にお酒を飲むのはやめましょう。特に病院からの指示がなかったり手術前の注意事項に記載がない場合でも、手術前日はお酒は飲まないようにしてください。これは麻酔専門医からの助言です。
Q 麻酔の前に絶食をする理由
胃に食べ物が残っている状態で麻酔の手術をすると、
吐き気を誘発 ➡ 吐しゃ物が気管支に入る ➡ 気管支が感染する可能性
があります。したがって、麻酔の手術を受ける時は、一定時間の絶食をすることが原則とされています。(※緊急オペ時などの例外はある)
Q 麻酔の前に薬は飲んでいい?
これは薬の種類にもよります。風邪薬や糖尿病の薬なら前日まで飲んでもかまいませんし、高血圧の薬なら当日も服用して大丈夫です。他の疾患や持病で常時服用している薬がある場合は、かかりつけの医師に確認するか、手術する病院に伝えるなどして判断をゆだねるようにしましょう。
Q 麻酔は長時間受けると危険?
麻酔に使われる薬剤のほとんどが、心臓や血管に何かしらの影響を与えますので、そんな薬剤が長い時間体内に入り続ければ、それだけリスクが高まるといえます。(健康な人であればさほど心配しなくても大丈夫)
Q 喉の痛み、吐き気、頭痛はなぜ起こる?
全身麻酔にかかっている間、患者さんの喉には気道を確保するために管が挿入されれている状態です。喉が痛くなったり痰が詰まりやすくなるのは、まさにこのせいですが、痛みはだいたい1~3日で消えるので心配ありません。また麻酔剤の副作用として吐き気や頭痛がおきることもありますが、これらは薬の投与で抑えられますので、医師が判断して対処してくれます。
Q 麻酔から覚めたら呼吸を大きくする理由
全身麻酔から覚めると、医師や看護師さんたちから“呼吸を大きくゆっくり続けるよう”促されます。これには理由が2つあります。ひとつは、麻酔を早く体内から追い出すためです。新しい空気を送ってやることで、体内に残っている麻酔を早く外に追い出すことができます。
そしてもうひとつの理由は、肺の機能を正常に取り戻すためです。全身麻酔をしている間、肺は通常よりも小さくなっているため、それを回復させないといけません。肺機能をきちんと取り戻さないと、無気肺※になる危険もありますので麻酔から覚めたら大きく呼吸することだけは肝に銘じてください。
※全身麻酔が原因でなる病気の中で一番多い
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